外来受診される方へgairai
泌尿器科
泌尿器科目次
おしっこが近い(頻尿)
おしっこすると痛む
尿が出にくい
血尿が出た
PSAが高いと言われた
腎機能が悪いと言われた
尿路結石症
陰嚢(玉の袋)が腫れた
膀胱癌
前立腺癌
腎癌
腎盂/尿管癌
その他泌尿器科癌(精巣腫瘍、陰茎癌など)
前立腺肥大症
その他の頻尿や排尿障害を来す疾患(過活動膀胱、神経因性膀胱など)
尿路結石症
腎不全
千厩病院泌尿器科について
千厩病院泌尿器科では、東磐井地域の泌尿器科医療のニーズに応えられるよう診療を行っております。初診の患者さんも受け付けておりますので、何か泌尿器科的な症状(次項参照)でお困り際は、受診をご検討ください。
当院では、悪性腫瘍(膀胱癌、前立腺癌、腎癌など)、良性疾患(頻尿、排尿障害、尿路結石症など)、腎不全に対する血液透析などの幅広く診療を受け付けております。一方で、一部の先進治療(ロボット支援手術や腎移植、骨盤臓器脱手術など)当院で対応できない治療については、患者さんとご相談の上で希望に応じて近隣の病院へ紹介させて頂く場合もあります。
治療方針については、推奨される治療について情報提供した上で、患者さん一人一人の背景やご希望を伺いながら相談の上で方針決定をしております。とくに悪性疾患を有する患者さんには加齢に伴う体力低下等も考慮しながら、単に長生きすることを第一に考えるのではなく、病後の生活の質や人生をいかに全うするかに重点をおき治療方針を決定しております。
外来診療について
|
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
午前 のみ |
阿部、紺野 |
阿部、紺野 |
阿部、紺野 不定期で1診 |
阿部、紺野 |
阿部、紺野 不定期で1診 |
◎受付時間 再来7:00~11:00
新患8:30~10:30
◎予約制となります。初診の患者さんも受け入れておりますが、予約の患者さんの診療が優先となりますので、待ち時間が長くなる場合があります。ご了承ください。
◎午後は手術や検査があるため外来は受け付けておりません。
泌尿器科受診を検討する時
おしっこが近い(頻尿)
一般的には、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合を頻尿と言います。頻尿の原因は様々で、膀胱がおしっこを十分に貯められずすぐにトイレに行きたくなる(蓄尿障害)、残尿が多く尿を出しきれないために繰り返しトイレに行く(排尿障害)、糖尿病や心不全等で夜間尿量が多い(多尿)、膀胱炎等で一時的に尿が近くなっている状態、等が挙げられます。
過活動膀胱 |
膀胱に十分に尿が溜まっていないのに、急に尿がしたくなって我慢ができず(尿意切迫感)、排尿回数が多くなる(頻尿)病気です。失禁を伴う場合もあります。脳梗塞やパーキンソン病等の神経疾患に伴う場合や、男性の前立腺肥大症に伴い膀胱が過敏になる場合があります。また、加齢による老化現象として生じる場合や、原因が不明のこともあります。 |
残尿量増加 |
残尿とは、排尿後に膀胱内に尿が残っている状態です。前立腺肥大症などによる排尿障害が進行すると残尿が発生します。また、糖尿病、腰部椎間板ヘルニア、子宮がん・直腸がんの手術後などで、排尿に関わる神経が障害されて残尿が増える場合もあります。膀胱内に残尿があると、結果的に尿を溜められる膀胱のスペースが減少するために、1回の排尿量は少なく、何回もトイレに行くようになります。 |
多尿 |
糖尿病などの内分泌疾患、水分の多量摂取、薬剤(利尿薬)などにより、1日の尿量自体が多くなると、結果的に何回もトイレに行く場合もあります。 |
尿路感染・炎症 |
膀胱炎や前立腺炎など尿路感染が起こると、膀胱の知覚神経が刺激されて尿が近くなります。 |
腫瘍 |
膀胱癌の主な症状は”痛みの伴わない血尿”ですが、稀に膀胱癌による症状として頻尿になる場合もあります。また、前立腺癌も進行すると尿が近くなったり漏れやすくなったりする場合があります。 |
おしっこすると痛む
排尿時や排尿の終わり頃に痛みを起こす最も一般的な病気は急性膀胱炎です。膀胱内に細菌が入り炎症を起こすため、尿検査では炎症細胞(白血球)が認められます。水分をよく摂取し排尿を促すこと、必要に応じて抗生物質を内服することで軽快します。一方、膀胱から腎臓まで細菌が入り込むと、腎盂腎炎を発症し、発熱、悪寒戦慄(寒気でガタガタ震える)、腰背部痛等を生じる場合があります。この場合は入院での点滴治療が必要となります。
男性の場合は、前立腺炎や尿道炎等も原因として挙げられます。前立腺炎は、細菌が前立腺に入り込み高熱、排尿時痛、稀に尿閉(尿が出ない)等の症状を生じる急性細菌性前立腺炎と、細菌感染がなくても慢性的に前立腺に炎症を生じる慢性前立腺炎があります。慢性前立腺炎は、長時間のデスクワークや運転、飲酒や香辛料摂取などが原因になりやすく、ストレスや運動不足で悪化したり再発したりします。
尿が出にくい
「尿が出にくい・勢いが弱い・排尿のため腹圧をかける」などの症状は、
①膀胱の出口が狭くなっている(通過障害)、②膀胱の収縮機能が低下している(膀胱収縮障害)のいずれかにより生じます。
①通過障害の原因としては、前立腺肥大症が最多です。②膀胱収縮障害は、排尿に関わる神経機能の低下(神経因性膀胱)を生じている場合が多く、原因としては糖尿病、腰部椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄、子宮・直腸がん手術後などが挙げられます。前立腺肥大症で残尿が多い状態を長期的に放置してしまうことも、膀胱機能の低下につながります。
血尿が出た
見た目で尿が赤い”肉眼的血尿”と、検診の尿検査で尿潜血(尿に血が混じっている)を指摘される”顕微鏡的血尿”に分けられます。尿に血が混じっているということは、尿路を構成する、腎臓→尿管→膀胱→前立腺(男性のみ)→尿道のいずれかから血が出ていることになりますが、女性は月経の影響で尿潜血+になる場合や、中には体質的・遺伝的に尿潜血+となる方もいます。
血尿の原因としては、悪性腫瘍(腎癌、尿管癌、膀胱癌、前立腺癌)、尿路結石、膀胱炎、腎臓の内科的疾患などが挙げられます。悪性腫瘍のうち、”痛みの伴わない血尿”で見つかる癌としては膀胱癌が最多です。検査としては、超音波検査や尿細胞診検査(尿にがん細胞が混じっていないか調べる検査)などを行い、必要に応じて膀胱鏡検査やCT検査等も追加し、血尿の原因検索を行います。
PSAが高いと言われた
PSAは前立腺特異抗原(Prostate-specific-antigen: PSA)の略語で、前立腺から分泌されるタンパク質です。4ng/mlが基準値として設定されており、①前立腺がん、②前立腺炎、③前立腺肥大症、のいずれかが原因でPSA値は上昇します。PSA高値の場合、エコー検査で前立腺サイズを測ったり、PSAを再検したり、MRI検査により癌のスクリーニングを行い、必要に応じて生検検査(前立腺の組織を採取)し癌の有無を評価します。
腎機能が悪いと言われた
採血検査項目のクレアチニン(Cre)、およびCre値と年齢、性別から計算されるeGFRで腎臓のはたらきを評価します。eGFRの値によって慢性腎臓病(CKD)の分類がされ、eGFR:30以下はCKD G4(高度低下)、eGFR:15未満はCKD G5(末期腎不全)とされます。
腎臓の主な働きとしては、不要な水分や老廃物を尿として体外に排出しています。腎機能が低下し、水分をうまく排出できないために体の浮腫みや息切れを生じやすくなり、老廃物が貯まることで倦怠感、食欲低下、嘔気などを生じます。また、腎臓では“造血ホルモン”を分泌する働きもあるため、腎不全の場合は貧血になります。
腎不全の原因としては、生活習慣病としての糖尿病、高血圧症などが多く、他、自己免疫疾患などに関連した慢性糸球体腎炎(IgA腎症、膜性腎症、紫斑病性腎炎など)が挙げられます。
末期腎不全に至ると、透析治療が必要になります。当院では主に血液透析を行っており、透析を希望される場合は、eGFR:15以下を目処に透析の準備(シャント手術)を進めておくことが推奨されます。
尿路結石症
体質や生活習慣によって腎臓内に結石ができてしまうことがあります。腎臓結石が尿の流れに沿って尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管)に落ちてくると、片側の腰背部や下腹部の激痛や吐き気を生じる場合があります。エコーやレントゲン、CT検査等で診断し、尿管に嵌頓したまま流れ落ちてこない結石や、1cm以上の大きな結石に対しては、手術により砕石・回収を行う場合があります。
陰嚢(玉の袋)が腫れた
様々な原因で陰嚢が腫れることがあり、年齢によって考えられる疾患が大きく変わります。
①精巣捻転、精巣垂/精巣上体垂捻転
精巣捻転は13-15歳くらいのお子さんに多い疾患です。精巣が陰嚢内で捻れる病気で、精巣の血流が途絶するため激烈な痛み、吐き気を生じ、6時間以内に緊急手術により捻転を解除しないと精巣は壊死してしまいます。
精巣捻転に類似した疾患で、精巣垂/精巣上体垂捻転という疾患があります。精巣には精巣垂や精巣上体垂といった、1-2mmの小さな突起が付着しており、これらが捻転することによっても急な痛みを生じます。
エコー検査で精巣の血流や腫れを評価します。
②精巣上体炎、精巣炎
様々な細菌やウイルスが精巣や精巣上体(精巣に付着する精子の通り道)に入り込むことで炎症を起こし、発熱、陰嚢痛、腫れ等を生じる場合があります。
様々な年齢で生じる病気ですが、高齢の場合は尿路から大腸菌等の菌が入り込む場合が多く、比較的若い場合はウイルスや、クラミジア・淋菌などの性感染症として発症する場合があります。
③陰嚢水腫/陰嚢ヘルニアなど
陰嚢水腫は、陰嚢内、睾丸の周りに水が貯まる病気です。針を刺して水を抜く場合もありますがすぐにまた溜まってくるため、違和感や脚と擦れて痛む場合や、皮膚炎を生じる場合は手術をお勧めします。
まれに、鼠径ヘルニア(脚の付け根の皮下に腸が飛び出てくる病気)が陰嚢内におよび、陰嚢内に腸管が入り込む場合があります。
各疾患とその診療
当院で診療に当たっているのは主に以下の疾患です。
・泌尿器科がん(膀胱癌、前立腺癌、腎癌、腎盂/尿管癌、その他)
・良性疾患(前立腺肥大症、神経因性膀胱、過活動膀胱、尿路結石症、陰嚢水腫、真性包茎など)
・腎不全(血液透析)
各疾患についての説明と、当院で行なっている治療については以下の通りです。
膀胱癌
“痛みのない血尿”や“検診で尿潜血を指摘される”などのきっかけで見つかることが多いがんです。検査としては、超音波検査(エコー)や尿細胞診検査(おしっこにがん細胞が混じっていないか調べる検査)等を行い、必要に応じて膀胱鏡検査(尿道からカメラを挿入し、膀胱内を観察する)を行います。膀胱癌が見つかった時は、CT検査(肺やリンパ節等に転移が無いか)やMRI検査(がんが膀胱の壁にどのくらい深く及んでいるか)を行います。
膀胱局所のみの癌であれば、診断/治療目的に経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT, 尿道からカメラを挿入し、膀胱内のがんを削り取る手術)を行います。その結果に応じて、2nd TURBT(1-2ヶ月後に2回目のTURBTを行う)や、抗がん剤膀胱注入療法やBCG膀胱内注入療法が追加治療として必要になる場合があります。
根の深い大きな膀胱癌(筋層浸潤癌)の場合は、全身抗がん剤治療の上で膀胱全摘除術(膀胱を取り除く)+尿路変更術(膀胱がなくなるため、腸等を使った新しい尿路を形成する手術)が必要になる場合があります。
膀胱以外の臓器(リンパ節、肺、骨など)に転移のあるがんの場合は全身抗がん剤治療が行われます。
千厩病院で治療可 |
経尿道的膀胱悪性腫瘍手術(TURBT)、BCG膀胱注入療法、化学療法(抗がん剤、免疫チェックポイント阻害薬) |
他院へ紹介 |
膀胱全摘徐術、放射線治療 |
前立腺癌
“検診でPSA(前立腺特異抗原)値が高い”ことをきっかけに見るかることが多いがんです。PSA検診を受けていなかった場合は、”おしっこが近い、出にくい“などの排尿症状や、骨に転移した場合は転移部位の痛み(腰痛や骨盤痛など)を契機に見つかる場合があります。
PSA値から前立腺癌が疑われる場合は、前立腺MRI検査や前立腺生検(経直腸的エコーで見ながら10ヶ所針を刺して前立腺組織を採取する)を行います。検査の結果癌が見つかった場合は、CT検査や全身MRI(DWIBS)検査を行い、リンパ節や遠隔転移(骨や肺など)の有無を評価し、癌のステージが決まります。
転移のない前立腺がんの場合は、手術、放射線治療、放射線治療とホルモン治療の併用などが治療選択肢として考慮されます。それぞれの治療にメリット・デメリットがあるため、前立腺内のがんの広がりや顔つきの悪さ(悪性度)、PSA値から評価される前立腺がんの状態と、患者さんの年齢や体力、治療に対する考え方などを基に治療法を選択していきます。手術は治療効果も高く、仮に術後に再発した場合も放射線治療とホルモン治療の選択肢を残すことができますが、術後の尿失禁が一定期間見られます。ロボット支援手術では術後の尿失禁が比較的短い期間で済むことが期待できるため、ロボット支援手術を希望される方は大学病院等へ紹介させて頂く場合があります。また、PSA検診の普及により、”放置しておいても生涯ほとんど悪さをしない小さな癌”も見つかるようになったため、がんの状態や患者さんの年齢や希望によっては経過観察のみ行う場合もあります(監視療法)。
前立腺癌には精巣や副腎から分泌される男性ホルモンの刺激で病気が進行する性質があります。転移のある癌の場合は全身治療として、この男性ホルモンを抑えるホルモン治療(内服薬+注射)が行われます。内分泌療法の副作用には、ホットフラッシュ(のぼせ、ほてり、急な発汗)、性機能障害、乳房の症状、骨に対する影響、疲労などがあります。前立腺がんの顔つきが悪い場合はホルモン治療が早期に効かなくなる場合もあり、状況に応じて2次治療として抗がん剤治療等が考慮されます。
千厩病院で治療可 |
手術(開腹手術) |
他院へ紹介 |
ロボット支援手術 |
腎癌
初期には症状が出にくく、検診での超音波検査や、他の臓器の検査のために撮影されたCT検査等で偶発的に見つかることが多いがんです。気づかないうちに腎がんが転移した状態で見つかる場合は、転移した部位の症状(肺転移→呼吸苦、骨転移→疼痛)をきっかけに見つかる場合があります。
腎がんは主にCT検査で診断します。腎臓は加齢とともに嚢胞(ポコポコした水たまりのようなもの)ができる場合があります。稀に嚢胞か腫瘍か判別が難しいものもあり、CT検査でもはっきりしない時はMRI検査も考慮されます。
腎腫瘍は、膀胱癌や胃癌、大腸癌のように内視鏡で肉眼的に評価することができません。その為、CTやMRI等の画像検査で癌が疑われる時には、「診断+治療目的」に手術を行います。腫瘍サイズが小さく、腎臓の外側に飛び出している腫瘍の場合は、腫瘍だけをくり抜く部分切除術が行われる場合もあります。
転移のある腎癌の場合は分子標的薬や免疫治療といった薬物療法が行われます。治療の種類がいくつかある為、年齢や体力を考慮しながら相談して方針を決めていきます。
千厩病院で治療可 |
腹腔鏡下腎摘除術 |
他院へ紹介 |
ロボット支援腎臓部分切除術 |
腎盂/尿管癌
腎盂と尿管は、腎臓で作られた尿が流れる管状の臓器で、腎臓と膀胱を繋ぐ臓器です。腎盂尿管癌は膀胱癌の20分の1程度と比較的まれな癌です。早期には、健診で尿潜血を指摘されたり、エコーやCT検査で水腎症(腎盂・尿管が拡張している)ことを契機に見つかることが多いです。精査の結果、腎盂尿管癌の診断に至る場合は、他の臓器に転移がなければ、癌がある側の腎臓・尿管を腹腔鏡下に摘出することが一般的です。転移がある場合は抗がん剤治療等での全身治療が必要となります。
千厩病院で治療可 |
手術(腹腔鏡下腎尿管全摘除術) 化学療法(抗がん剤治療、免疫治療) |
他院へ紹介 |
放射線治療 |
その他泌尿器科癌(精巣腫瘍、陰茎癌など)
・精巣腫瘍
10万人に1人程度と比較的まれな癌ですが、20代-30代と比較的若い方に起きる癌です。精巣癌になりやすいリスク因子としては、停留精巣の既往や家族歴等が挙げられます。片側の腫瘍が大きい、しこりが触れる、痛みが出る等の症状がある場合は超音波検査や血液検査で精査し、腫瘍が疑われる場合は病変がある側の精巣を摘出する手術を行います。
・陰茎がん
10万人に0.5人程度と稀な癌で、60代以上の方に好発します。陰茎がんのリスク因子としては、①真性包茎に伴う亀頭包皮炎等で亀頭部に慢性的な炎症を生じている、②喫煙者、③ヒトパピローマウイルスの感染、等が挙げられます。転移がなければ基本的には手術が行われ、腫瘍のサイズや根の深さに応じて陰茎部分切除、全切除等、術式が検討されます。
千厩病院で治療可 |
高位精巣摘除術 |
他院へ紹介 |
進行性精巣腫瘍に対する抗がん剤治療 |
前立腺肥大症
前立腺は、尿道を取り巻くように膀胱出口に存在する男性特有の臓器です。加齢とともに前立腺が肥大し尿道が圧迫され、尿の勢いが悪くなる、残尿感がある、頻尿(排尿感覚が近い)、尿意切迫感(我慢が効かない)、夜間頻尿(何回もトイレに起きる)等の症状が出現する場合があります。
初期には、尿道の通り道を広げる薬(α1ブロッカー、PDE5阻害薬など)や前立腺を小さくする薬(5α還元酵素阻害薬)等で治療しますが、①残尿が多いまま、②膀胱内に結石ができる、③尿が出ずに完全に詰まってしまう、場合等は手術も考慮します。
前立腺肥大症の手術は、全身麻酔下での経尿道的前立腺切除術(肥大した前立腺腺腫を電気メスで削り取り、尿道を広げる手術)が主流でしたが、時間もかかり術後のTUR症候群(手術時に膀胱を膨らませる水が体内に吸収される)や、術後の尿漏れが生じる場合があり、ご高齢の方や基礎疾患のある方ではリスクが高い場合もあります。
一方、最近ではご高齢の方や基礎疾患のある方にも提案しやすい治療として、低侵襲前立腺肥大症手術(比較的短時間で、患者さんへの身体的負担が少ない手術)が行われるようになりました。治療方法としては、経尿道的水蒸気治療(WAVE)や、経尿道的前立腺吊り上げ術(PUL)など、腰椎麻酔下に15分程度で終わる手術があり、当院でもご案内をしております。
千厩病院で治療可 |
TURP(経尿道的前立腺切除術) WAVE(経尿道的前立腺水蒸気治療) PUL(経尿道的前立腺吊り上げ術) |
他院へ紹介 |
HoLEP(経尿道的ホルミニウムレーザー前立腺核出術) |
その他の頻尿や排尿障害を来す疾患(過活動膀胱、神経因性膀胱など)
頻尿をきたす疾患は、膀胱で尿を溜める機能が低下することで切迫感(尿が出たいと思った時に我慢が効かない)を生じる過活動膀胱、尿を出す機能が低下し残尿が増えてしまう神経因性膀胱等があります。これらの疾患は様々な原因(脳梗塞、椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症、糖尿病、加齢など)で発症します。問診や各種検査(エコー、残尿検査など)により診断に至ります。
生活指導や内服治療が治療の中心で、難治性の過活動膀胱に対してはボツリヌス療法が行われる場合もあります。
千厩病院で治療可 |
ボツリヌス療法 |
尿路結石症
腎臓、尿管、膀胱内に結石が生じる疾患です。腎臓内にある結石は痛みを生じませんが、尿に沿って尿管(腎臓と膀胱を繋ぐ管)に結石がはまり込むと、激痛や嘔気、まれに血尿を生じます。結石が尿管にはまり込んだままにしておくと、感染や腎不全の原因となりうるため、結石サイズが大きく自然排石(自然に結石が尿に沿って流れ出る)を期待できない場合は手術による結石破砕を考慮します。
また、前立腺肥大症等で残尿が多い方では、膀胱内に結石を生じやすく、排尿時の痛みや血尿の原因となる場合があります。
千厩病院で治療可 |
TUL(経尿道的尿路結石砕石術) |
他院へ紹介 |
ESWL(経皮的結石破砕術) |
医師紹介
泌尿器科長 阿部 正和(アベ マサカズ)
泌尿器科医長 紺野 成顕(コンノ ナリアキ)
泌尿器科医長 神﨑 成子(カンザキ セイコ)