総合診療外科の手術について⑩<食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎>%e7%b7%8f%e5%90%88%e8%a8%ba%e7%99%82%e5%a4%96%e7%a7%91%e3%81%ae%e6%89%8b%e8%a1%93%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%e2%91%a9%ef%bc%9c%e9%a3%9f%e9%81%93%e8%a3%82%e5%ad%94%e3%83%98%e3%83%ab%e3%83%8b

総合診療外科の手術について⑩<食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎>

 食道裂孔ヘルニアは、本来、横隔膜の下の腹部にあるべき胃が、横隔膜より上の頭側に脱出する病気です。食事や胃酸が食道内に逆流することで様々な不快な症状を引き起こします。症状としては、胸焼けや胸痛、喉の痛み、咳、などの症状があります。

 予防としては、肥満のある方には減量、喫煙者には禁煙、夜間に症状がある方には遅い夕食の回避、就寝時に頭を高くすること、などがあります。

 治療法としては、内科的には胃酸を押さえる内服薬を中心に、胃を動かす内服薬や漢方薬で治療しておりますが、内科的な治療で効果がない場合には外科的に手術を行うことがあります。

 当科では、食道裂孔ヘルニアに対する手術として、開腹手術ではなく、腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア手術を行っております。腹腔鏡下に小さなキズ5つ程度で手術を行うために、痛みが少ないこと、入院期間が短いこと、などのメリットがあります。当科での入院期間は順調な場合は1週間程度です。

 手術の目標は、胃を胸腔内から腹腔内に戻して固定すること、食事や胃酸が逆流しないように逆流防止弁をつくること、嚥下障害や腹部膨満などの合併症を少なくすることです。

 腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア手術の術式は、Toupet法とNissen法がありますが、当科ではToupet法を行っております。この術式では、Nissen法よりも術後の食事の通過が良好であると言われております。

 食道裂孔ヘルニア、逆流性食道炎の患者さんは、体力が低下した方、痩せている高齢の方もおられ、リハビリスタッフが術前術後のリハビリを行い、筋力の保持・増加に努めます。また、管理栄養士が食事指導を行い、術後の食事の摂取方法についてアドバイスいたします。

        (文責) 外科 塩井義裕