総合診療外科の手術について⑤<内痔核>%e7%b7%8f%e5%90%88%e8%a8%ba%e7%99%82%e5%a4%96%e7%a7%91%e3%81%ae%e6%89%8b%e8%a1%93%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%e2%91%a4%ef%bc%9c%e7%97%94%ef%bc%9e

総合診療外科の手術について⑤<内痔核>

~痔は切らずに治す!:内痔核に対する注射療法~

 痔の病気は、大きく分けて、いぼ痔、切れ痔、穴痔があります。医学的疾患名は、いぼ痔は痔核、切れ痔は裂肛、穴痔は痔瘻、と言い、いぼ痔=痔核が最も多いです。

 今回は、痔核、とくに内痔核のお話しです。直腸の粘膜と肛門の皮膚を境界にして、直腸側にできるのが内痔核、皮膚側にできるのが外痔核です。症状から分けると、痛みがないのが内痔核、痛みがあるのが外痔核です。原因は、ヒトが四つ足歩行になってからの宿命で、肛門周囲の静脈瘤に血液がうっ滞することで起こります。肛門から脱出した痔がすぐに戻るようなら注入軟膏や下剤で治療します。すぐに戻らなかったり常に脱出しているような状態なら手術が必要になります。

 以前は内痔核の手術は、肛門から切ったり結んだりの手術で、術後は痛みがあったり、出血したり、肛門が狭くなったりすることがありました。しかし、最近では、内痔核は注射で治せる時代になりました。

 当科では内痔核に対して痔核硬化療法(ALTA)を行っております。この方法は、腰の麻酔または全身麻酔のあと、内痔核に4回注射することで痔を薬液で固めて治します。痛みや出血が少なく、早期の社会復帰が可能です。日帰り手術を行う施設もありますが、痛みを伴うこともあり当院では入院で行っております。術後は1-2日で退院される方が多いです。注射による方法は手術よりも再発する可能性が若干高いと言われていますが、再度の注射で治すことが可能です。

 この痔核硬化療法の資格取得には講習会の受講が必要で、資格を持つ医師が施行しております。

(文責) 外科 塩井義裕